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5 西川重彦さん 

たんじゅんさん訪問 第5回

西川 重彦さん (神奈川県大磯町)
                     (2009年10月31日訪問)
あるがままに 地道に 進む

炭素循環農法と慣行農法を、同じ圃場内で実践
ハウストマト・キュウリ、露地葉物野菜、ミカン栽培
内部品質を比較しながら、着実に研究・実践
将来は野菜栽培と兼業で、キノコ栽培を

都市化の中で心やさしい農を
 西川重彦さんは、1976年(s 51)2月4日生まれ。
 重彦さんは、農業大学校を卒業して、すぐに農家のあとを継ぐ。
 父は勤めていて、母が畑をやっていたので、母を手伝うことからはじめた。
 農家をはじめて10年ぐらいになるが、はじめはEM農法をしていた。
 だが、2006年に、炭素循環農法を知る。そのホームページで、EMに厳しいことが書いてあった。EMは腐敗を分解するにはいいが・・・。
 「人の腸は酸性。虫はアルカリ」ということが納得でき、EMの現状に満足していなかったので、近くの二宮町の中村隆一さんと、この農法を手探りではじめた。
  
              
     西川さんのミカン園       下はいろいろな炭素資材が敷き詰めてある
 湘南の海は、低いミカン山が点在する山並みと、幅数キロの距離を隔てて、並行している。
 その幅数キロは、平地になっており、たくさんの人々の住み家が密集している。なにしろ、首都圏に通勤でき、しかも、温暖で自然に恵まれた環境だから、無理もない。
 ところが、その湘南の平地に、畑や農業用ハウスが結構な面積占めていることを知ったのは、西川重彦さんを訪ねてからである。

 考えてみれば、当たり前で、そこに住んでいる方たちは、いまでこそ、全国から農産物を食べているとしても、もともとは、その地域の農産物を食べていたに違いない。
 そのため畑は当然あった。それが、じりじりと、宅地化し、・・・・。
いまも、都市化の波に押されながらも、まだまだ、畑は山の端に残っている。
その都市化した湘南、大磯町で、サラリーマンに目を向けず、すぐに農業をはじめて10年になる西川重彦さんは、まだ33歳。数年前「炭素循環農法」に出あい、本格的に始めたのは、昨年からという。

隣が栄えると自らも栄える
実は、重彦さんを訪ねるのは、これで2度目。最初は、今年(2009年)4月、ブラジルから林幸美さんが帰られて、今年最初の実践者交流会が、大磯で開かれた。その際のお世話をされたのが、西川さん。そこでお会いした。
最初に驚いたのは、ご両親の理解が、「炭素循環農法」については得られず、同じ畑の一部を、いわばご両親に内緒で、「炭素循環農法」に転換してやり始めていて、いま2年目ということ。

まったく違った考えの農法を、親に理解が得られないまま、それでも、同じ畑でやろうとされる、その情熱と研究心、それに意志の強さと心のやさしさを察した。
と同時に、若い息子が農業をやるだけでうれしい(もしかすると逆?)はずなのに、それに反対するほど、この農法は<非常識きわまりない>農法なのかと、痛感した。

その時の交流会のレポートを、次のように知人に送った。

 西川さんは、この農法の実践をはじめて1~2年。だから、畑は、まだまだ幼稚園の段階だそう。それでも、土が変わっているのがわかり、キャベツがとてもおいしかった。
「ふつう、キャベツの芯は、周りが薄く茶色に木質化している。それが、微生物が増えてくると、消えてくる。葉よりも、芯の方が甘くなる。そうなるに、あと1~2年でよくなる・・・」という林幸美さんの解説。
 畑には、30cm四方、深さ1m近くの穴が掘ってあった。根がどこまで入っているか、硬度、土質、水分量はどうかが、掘るのは大変だっただろうけど、わかりやすかった。この農法で、これから、土がどう変わっていくのか、楽しみ。
            
 まだキャベツの芯は木質化          穴を掘ると土の状態が見える           トマト苗のそばで廃菌床が待つ
ただ、西川さんは、畑の一部はこの農法、同じ畑の他の部分はお母さんと慣行農法でやっている。また、まわりの隣の畑は、もちろん慣行農法(^-^)。
 その場合、この農法の畑と、それと異なる農法の畑との関係を、どう考えていったらいいかも、話題になった。
 この農法では、微生物が増えるにつれて、最後は、根が下に2m、左右に3mぐらい張る。そのため、土が非常によくなってきた段階で、作物のできが悪くなるということが起きる。それは、隣の畑の”肥料”分を吸収しはじめるからだそう。

 だから、隣の畑に近い2,3mの所の作物は(地下水の流れも関係するが)、その覚悟がいる(^-^)。自分の畑の一部分だけを、この農法で、他の部分は慣行農法でという場合でも、気をつけないと、この農法の畑があまり小さいと、他の影響を受けて、試験にならない。すくなくとも、5m以上の幅の緩衝地帯がいる。
 最終的な解決は、隣の畑の方も、この農法に変わってもらうこと。「他が栄えれば、自らも栄える」、それが自然の法。そのためにも、隣がマネをしたくなるほどの実績を示すこと。・・・・と林さん。なるほど!納得ナットク! 

現状を生かし、地道に研究
それから半年。10月に訪れた畑は、キャベツの苗が冬に向けて、整然と育っていた。春に比べて、とても元気に見えた。

                      
       キャベツ畑にさわやかな風が            元気に育つ
「炭素循環農法」についての両親の了解は、まだ得られないようで、畑の一部、50坪だけが、この農法に転換されていて、まだ、残りの部分は慣行農法だった。
ただ、春と違って、転換された畑はだいぶ広くなっていた。そうすることで、転換区と慣行農法区との緩衝地帯ができて、転換区へのまわりの影響を少なくしていた。

重彦さんは、500坪のハウスもやっている。そこでは、夏期はトマト、冬期はキュウリ。
それも、お母さんと一緒にやっていて、同じハウスの50坪だけを、炭素循環農法に転換している。他は慣行農法。
10月、ハウスは、春のトマトからキュウリに変わり、実をつけ始めていた。
ハウスも、露地と同様に、春に比べて、転換区の面積が2倍に広げられて、慣行区と転換区の間に、新しい転換区ができ、中間区の役を担っていた。

               
  葉に囲まれて気持ちがいい  花も次々咲いている   おいしいキュウリがとれていた 
キュウリの葉は、勢いがあり。気持ちのいい色をしている。花が次々と咲いている。
病気は、うどん粉病が少し出ているが、何もしないで放っている。そんなにひろがらないようだ。

           
  うどん粉病がすこし      貴重な廃菌床      微生物を飼うのが仕事
炭素資材は、廃菌床を使っている。といっても、すぐ近くでやっていたキノコ屋が廃業し、以前から、空き地に大量に捨てていた菌床の山がある。それは5年以上たっているが、糸状菌が真っ白く生きているものを掘り出し使っている。10年以上前から捨てられているものもあり、その廃菌床は、苗の床土に利用している。

                  
 空き地に山になって捨ててある廃菌床         糸状菌が生きている
このあたりでは、キノコをやっているところは少ない。ホダ木を使ったシイタケ栽培はあるが、菌床を使っているところは、大学の後輩が、果樹をやりながら、キノコをやっているぐらい。だから、捨てられた廃菌床でも、たいへんな宝物だ。
量は、1年に1反7.5トンぐらい入れている計算になる。春と夏に、通路に入れ、管理機でうなっている。
作物を収穫したあとは、残さをそのままトラクターで、15cmぐらいの深さでうなう。
タネは、F1人気種で抵抗性を重視。苗床は、菌床と市販の床土を半々に混ぜている。

              
    ハウスの土を掘ってみると     硬盤層が30cmから60cmぐらいに
何年も、このハウスでトマトとキュウリをやっているそうだが、土は固い。耕した所は、一見柔らかいが、30cm下は非常に固い。管理機では歯が立たない。これが畑かと思うほど、スコップでもなかなか掘れない。
こういった土が、この農法で、今後どう変化していくのか、いかないのか。

じつは内部品質試験のチャンス
 ハウスも、お母さんと一緒にやっていて、重彦さんが、炭素循環農法でその一部をやっていることを、お母さんに知らせていない。そのため、いろいろ問題は起こる。
『昨日も、お母さんが、キュウリに追肥を撒いてくれたので、転換区のところは、それを拾って歩いたよ』と、彼は楽しそうに笑っている。
このように聞くと、重彦さんは、不幸な環境で、思うような農業をやっているよう見えるかもしれない。
だがしかし、彼は違う。その現実をありのまま受けて、その中で、未来側から観て、いま何ができるかをやっているようだ。いわば、頑張らない、自然・天然流である。

その西川さんらしさの一つが、内部品質の比較研究である。
この夏7月に、トマトが西川さんから宅配便で突然2種類送られてきた。転換区と慣行区の2種類という。その味の比較をしたが、実のところ、その時は、味の違いがよくわからなかった。

       
   送られてきた内部品質比較試験用トマト
しかし、秋10月に、今度は、キュウリが3種類、品質評価をしてほしいと、届いた。

   
    参加者で3種類のキュウリの味を評価しあう
その日は、「たんじゅん農法」遠州ミニ実践交流会を開いていて、西川さん自身は来られないが、代わりに、「キュウリ」が、突然参加したのである。
そのキュウリは、3種類の包に分けられていて、3種の畑で、別々に収穫されたものだった。どれが、どんな畑かは、わからないままで、参加者は、それぞれの味を比較しながら、評価をしあった。

参加者15名の評価結果は、次のようになった。
Aのキュウリ          Bのキュウリ       Cのキュウリ
1 しっかりした味       幼い、みるい、      味がない
2 みずみずしい味       中間           パサパサ
3 甘み、味がある       甘みがない、味が濃い   味がない、
4 におい強い、野性味あり   におい弱い        苦味あり
5 さっぱり、みずみずしい   硬くて変         味がない
6 味があとから出てくる    中間           味が悪い
7 味があり、みずみずしい   味が感じられない     味がある
8、甘みを感じる        塩っぽい         味がない
9、素直な味          薄い味          あとからえぐみ
10、みずみずしい、甘い     香りがなく味が濃い    香りがなく味がない
11、ほろにがい         柔らかい、好きな味    えぐい
12、甘みがあり、柔らかい。   水っぽい、固い      味が薄い
13、うまみ           すっぱい         無味
14、甘みあり、細胞がぱりっ   味が濃い         さっぱり味、みずっぽい
15、甘く水みずしく弾力あり  外側の味が濃い      食べたあと、苦み

西川さんに、確認したところ、 Aが転換先行区、Bが転換一年(緩衝)区、Cが慣行技術区ということだった。 樹の状態は、Bに病気が出ている。 ただ、虫は今年は全体的に少なく、どの区も最近になって食害が出始めた程度。

参加者は、炭素循環農法と慣行農法の内部品質の違いを、思いがけず、味う交流会になった。重彦さんが参加していないからこそ、かえって、冷静な評価ができ得たであろう。「たんじゅん農法」ならではの、まさに<実践>交流会になった。。と同時に、交流会へのこんな参加の仕方があるのかと、重彦さんの研究心に感心した。

ともかく、同じ圃場で、3種類の条件の内部品質比較試験は、そうできるものではない。
これも、お母さんあってのこと。それをプラスに転じ、転んでもタダでは起きない、したたかさが、重彦さんの、柔和な、すべてを溶かす笑顔の奥に、垣間見える。
あちこちの実践交流会にも、重彦さんの顔をよくみかけるのも、その探究心のゆえだろうが、同時に、お母さんが留守の世話をしてくださるからだろう。ありがとうございます。

いずれすべてを溶かす
ハウスでは、キュウリ、トマトの連作をしている。
キュウリは、9月に植えて、冬の間とる。慣行は1茎で50本とるが、この農法は、20本がいま目標という。わき芽は、捨てないで、前はヌカに混ぜて、畑に戻していたが、いまは、古い菌床と混ぜて、戻している。
トマトは、年内にタネを蒔いて、苗を2000本育て、夏までならせるそうだ。

生産物は、近くの町の直売所に出している。まだ、量がたくさんできない。
いずれ、市場で扱ってくれるようなプロを目指したいという。
このあたりも、慣行農法の方がふつうで、新しい試みをしている方はめずらしい。重彦さんの畑を訪ねてくる方は限られているそうだ。

生活は近代化しているが、農業は、いや、頭の中が、まだまだ同じということか。
いや、もしかすると、生活も、農業も、すべてが、人間の側から、見たり考えているだけ。
それに対して、西川さんは、人間の側からではなく、自然・天然の側から、(そう意識していないが)やっているので、他の方からは、生みの親・育ての親からも、理解されないのではなかろうか。

いや、だれの中にも、自然・天然はある。ただ、今は、まだ眠っているだけ。いずれ、そのタネが芽を出す時が来る。
重彦さんは、その芽ぶきが、他の方よりも、少し早いだけかもしれない。
いずれ、その芽をみて、春の訪れを感じる方が出てくるだろう。
もし、それが、ホンモノの芽であれば・・・。

そのとき、心と心が溶け合い、頭では理解しあえなくとも、心で響き合えるときが来るだろう。
それが<春>。境が溶け合う春。
もう、その響き合える<春>が、そこまで近づいているのかもしれない。
この湘南の地にも・・・。

重彦さんのこれからの夢はと聞くと、畑をやりながら、キノコ栽培を手がけたいという。
キノコ栽培は、この湘南の狭い土地を効率的に活用して、経済力をつけられるし、しかも、この農法の資材確保につながるので、一石二鳥と考えている。
結婚はまだ?と聞くと、笑って「つきあう機会が少ない。それに、経済力をつけてからでないと。まだ、親のスネをかじっているようでは・・・」。

未来側から観ると、その二つの夢はかなっている。それの実現には、重彦さんのひたむきな研究心と実行力、それに、やさしさは、とても頼りになる。

笑顔満面の重彦さんに見送られながら、「また、会いましょうね」と、湘南をあとにした。
 
西川重彦さんの連絡先
神奈川県中郡大磯町西小磯325  
nishix@mh.scn-net.ne.jp

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
蛇足
いったい、自然・天然の側って、なんだろう。人間の側って、どういうことだろう。
人間っていうけど、自己。自己は、他と境を頭で作り、自己にすべてを取り込みたがる。自己主張をしたがる。
だれしも、すべてとつながって生かされているにも関わらず、他と区別し、他と比較競争することで、進歩発展して、生活し、仕事をしているのが、自己。自己なくして、すべてが成り立たない。人体も、自己があって、動かされている。(自己の正體は・・・)

それに対して、天然は、堺がない。そこには、国境はもちろん、親子の境さえもない。
すべて、生まれれば、天然の子であり、誰かの子ではない。
すべて、死ねば、天然に還るのであり、天国も地獄もない。
すべて、戦わず。捨てるモノ、いらぬものはない。循環する。

天然の仕組み・法則の手の平の上で、生活も、農法もある。健康も、幸福もある。
それに逆らえば、その通りになり、
それに沿えば、その通りになる。
何でもあり。それが、天然の世界。
単純、明快、矛盾のない世界。
たんじゅん世界。
                                第5回 終わり

 
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たんじゅん 

Author:たんじゅん 
「虫がつく野菜は、人間の食べ物ではない、虫のエサ。人間の食べ物は虫がつかない野菜。虫も野菜も人も、すべてが生き生きとしている。もちろん、お百姓も未来の大人も・・・」。
それが、自然・天然の仕組みと聞いて、びっくり、納得。
人間の側からではない、天然の側からのたんじゅんな農法は、もしかすると、戦争のない平和で豊かな世界の一つの実験、実顕ではなかろうかと、その実践報告を集めている。
連絡先メールアドレス tanjun5s@gmail.com

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