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5月26日 茨城・遠藤ハウス 感想

遠藤さんのピーマン農園を見学しましたので報告します。

                           吉井 浩一
                           
一言で言うと、不思議な世界を垣間見たようでした。

ハウスのピーマンは草丈が低く葉が小さいのに巨大な実が数多く実ってます。

震災後の栽培ということもあり、これほどまでの良い結果を願っても想っていたわけでもないのに、なぜだかできちゃったようです。

虫は全く見つかりません。土には炭素資材が見えませんが十分乾燥しています。

もどきさんも、「あちらの人」だからと最高ともいえる賛辞を送っていました。

しかしながらこの圃場、去年の地震による震災で土地が液状化し、ドブ状のものがブクブク浮き上がり、ドブ臭かったそうです。(現在土砂はハウスの外に除かれてました)

炭素資材も、去年一月におがこを入れてから何も入れてません。

従って条件的には必ずしも万全ではないのに、なぜこのような立派なピーマンができたのか?それがとても不思議です。

水はけについてはほぼ理想的な状態でした。通路を60cm掘ったのですが、上10cmは乾燥しさらさら、下の方も若干の湿り気を維持しています。畝肩も崩れず直角になっており、団粒化されてるようです。

地震による揺れで腐敗成分が除かれ、空気と水が理想的になったからでしょうか?

そうだとしたら、土地を揺らす事で腐敗成分を一気に取り除くことができるかもしれません。

先日の宮城のハウスの場合は自ら動いて風穴を開けたのに対し、こちらのハウスは震災が風穴を開けたのかもしれません。

こんなにいい結果が出たのですから、来期はさらに期待したいところですが、この圃場での栽培はこれで最後だそうです。今後はみんなで集まり、地産地消で路地端で主体的に野菜を売れるような「たんじゅん村」構想に奔走するそうです。

勿体無い気もしますが、農業従事者がもっと普通に生活できるような仕組みが必要との問題意識にも共感できます。たんじゅん村、是非実現して頂きたいものです。

●圃場について
海近くの平地。隣りは水田。1反5瀬のハウス。
●水はけ、水やり

上10cm程度乾燥、その下60cmまでは若干の湿り気。もどきさんによるとこれがベストな湿り気状態。以前より乾燥している。

水田近くの場所は以前は湿気があったが、現在の乾燥状態は場所にかかわらず一定のよう。
去年よりも水やり量を増やしている。
Eさんは植物が水を吸ってるからこれだけ実が成るのだろうと発言。
もどきさんは、水やりしなくても結果は同じではないかと指摘。
地下20cm地点の水分計によると、水分量は 一日で激しく動いており、
朝pF値が振り切れてても昼には赤の一番左になるまで乾燥する。

畝高 10cm
●地質
心土は沼地の土。砂質に粘土質が混ざった感じ。鉄分のため若干赤い。ここに客土して使用している。
匂い 僅かにする
棒の深さ 測定せず

畝は深さ20-25cmでロータリーをかけている。

●資材
おがこ。広葉樹で菌床に使うもの。熱処理はしてない。去年一月におがこを入れて以来炭素資材入れてない。
かつては廃菌床入れた。
光合成細菌も使用している。
光合成細菌は死んだバクテリアをエサにしており、菌の掃除もしている。

(Eさん仮説)生のおがこの分解程度が重要ではないか?生おがこで窒素飢餓起こった人がいる。
(もどきさんの答え)
おがこのように細かい生の炭素資材は、土の上に敷くのはいいが混ぜてはならない。
土の物理性が悪くなって水分を含み腐敗してしまう。
●雑草
ハウス周辺にスギナが少々のみ。若干の雑草は抜いた模様。
昨年はもっと生えていた。

●虫
虫は全く発見できず。アリもいない。
かつてはダンゴムシがいた。



スリップスの天敵昆虫カメムシの一種を

最初に入れたが、それがたくさん増えている。花の中に住んでいるため姿は見えず。しかしその天敵昆虫が食べる害虫はいない。ではなぜ天敵昆虫が生きられるのか?Eさん仮説によると、天敵昆虫は花粉が主食。害虫はなわばりを守るために仕方なく食べてる。食べすぎるとストレスになって長く生きられないようだとのこと。ここまで虫の気持ちが分かるとは驚きだが、あちらの人らしい発言。

●硝酸値
0-10mg/l

●植えてるもの
ピーマン 2月中旬に植えた。6月まで収穫。
大きさ 葉も草丈も小さいのに実は大きい。
葉の色 濃い
青臭さ 渋み なし

中型種なのに実はパプリカのように巨大で肉厚。それなのに草丈は去年の
半分ほどで、1m程度。葉も小さく、下葉も大きくならない。
成長むらがほとんどない。
以前は葉がくたっとしてたのに今はしてない。
フカフカ土の畝の中にびっしり根が張ってる。

去年までは支柱立ててたが、今年は根張りが良かったので支柱立てなかった。

4本仕立て

品種: エース、みよぎ、平安 (原種)
平安を植えた理由は、品種改良した F1でなくても病気せず大丈夫であることを示すため。 在来種はメタボになりやすい。

普通はまめに収穫してないと木がもたないが、こちらのピーマンは収穫してなくても元気。

ピーマンの残渣は害虫がいるため根ごとハウス外に持ち出している。

予定よりも収量が多かったため、売り先がなく未収穫でおいていて、実が大きくなりすぎ、養分が逆流する尻腐れが若干起きている。

この時期うどんこ病の匂いがないのはいままであり得なかったが、今年は匂いもなく、うどんこ病も僅か。実が大きくなりすぎると木がもたないものだが、元気に育っている。

(もどきさん)
実に養分が取られ弱っている。
早めに取ればうどんこ病を抑えられるし、
2-3倍に収量上がる

●ピーマンの味 (ベーコンとの炒めもの)

エース: 肉厚で咬みごたえはピーマンというよりタマネギ。嫌味なく食べやすい。
平安: エースよりも歯ごたえあり。ピーマンらしい風味があり美味。

●今後について

この圃場ではもうやらない。

もっと主導権を持って売りたい。
今はいいもの作っても売れ残る買い手市場。買い叩かれず、主導権を持って売りたい。

たんじゅん村を作るため、
3haくらいの別の場所を探している。

道端で売れるような、果菜類、長期間作られるものを育てる。

グループページ: http://groups.yahoo.co.jp/group/tanjun-nippon/

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たんじゅん 

Author:たんじゅん 
「虫がつく野菜は、人間の食べ物ではない、虫のエサ。人間の食べ物は虫がつかない野菜。虫も野菜も人も、すべてが生き生きとしている。もちろん、お百姓も未来の大人も・・・」。
それが、自然・天然の仕組みと聞いて、びっくり、納得。
人間の側からではない、天然の側からのたんじゅんな農法は、もしかすると、戦争のない平和で豊かな世界の一つの実験、実顕ではなかろうかと、その実践報告を集めている。
連絡先メールアドレス tanjun5s@gmail.com

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