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チップを外で発酵してハウス野菜

外でチップを発酵、ハウス内の野菜が抜群のでき
    ― 軽井沢 (株)東信花木の試験ハウス 訪問 ―

0) 造園屋さんがチップの活用法を考える
二酸化炭素濃度を高くして、ハウス栽培をすると、軽井沢で、年中野菜が栽培できている。ぜひ、見るといいと、ある方から勧められた。それで、3月末、まだ、所々、隅に雪が残っている軽井沢、その東信花木という、大きな造園業を営む、尾台聿雄(おだい いつお)さんを訪ねた。

尾台さんは、若いころ、父の仕事を手伝って、農業をやり、24歳で、地域のもうけ頭になった。しかし、農協のやり方に反発して、農業をあっさりやめて、別荘地に目をつけて、造園業をはじめたという。
いまは、広大な山などに植林して、10年先、20年先の木を育て、全国で博覧会が開かれると、何千本という大きな木の注文が来るほどの、庭木屋さんになった。
名刺には、造園材料総合卸、造園土木、管理一式、自然を設計 アドバイスする グリーンプラン、エコシステム、間伐材等地域密着ハウス とある。

庭師だけでなく、別荘にかかわる宅地造成、ログハウス建設など、幅広い仕事をしている。
カラマツが、長野の山に多いが、植木には使えない。それを建材に使えるよう工夫して、ログハウスの仕事を始めた。だが、しかし、カラマツの端材が大量に出る。宅地造成もやっていて、間伐材がたくさん出る。
その上、山で、植木になる木を運び出すと、残った根を掘り出して、苗を植える。その掘り出された根の量が、1年間で、半端な量ではない。

そんな幹や枝、根を集めると、年間1500~2000トンにもなる。10年前からその処理に困りだし、考えたのが、それらをチップにすること。大型のチッパーを一日40万円で借りてきて、毎年1週間で、チップにしている。径が25cmぐらいでも、簡単にチップになる。
ところが、できたチップの山の使い道がない。思案したあげく、それを発酵させることをはじめた。チップに米ぬかや鶏糞を少し混ぜると、時間がかかるが発酵はする。ところがいつ発酵するかわからない。研究をしたところ、それに、木酢、特に、カラマツを炭に焼いて出る木酢をかけると、すぐに発酵することをみつけた。

写真とその説明 
https://plus.google.com/photos/110716556042971360940/albums/5862607774391670753 
(それぞれの写真を、クリックすると、その説明が出ます)

1) チップ発酵ガス利用のハウス
 それを利用した発酵熱で温室ができないものかと、試験を繰り返すうちに、長さ30mの2重張りのビニールハウスの外(南側)に、深さ50cm、広さ50cm2の窪地を掘り、厚さ1mチップを入れて、5%のチッソ資材とカラマツの木酢を混入、湿度6,70%にして、発酵槽を造った。その底には、5本の塩ビの有孔管を敷いて、その端をハウスに導き、1mぐらい斜めに突き出している。
 
 そのハウスに入ると、空気が生暖かい。年中特別な暖房はしていない。
南側の壁面の下から、塩ビのダクトが、斜めに突き出ていて、口に手をかざすと、発酵槽からの、4,50度の気体がそよそよと出ている。
その日は3月下旬の曇り。ハウスの温度は27~32度、CO2濃度は3880ppmだった。ドアを閉め切ると、7000ppmにもなるという。通常の大気のCO2濃度が370ppmだから、1ケタ高い濃度。
湿度は、90%以上。ダクトから水蒸気も出ているのだろう。天井で冷えた水蒸気が、時々、ぽたりぽたりと、雨のように落ちている。

あちこちに、雑然と、いろいろなモノが植えられているだけで、ほとんど手が入っていない。
マンゴー、サクランボ、ナス、トマト、ピーマン、キャベツ、ブロッコリー、レタス、アスパラガス、カボチャ、・・・、それに、ハナミズキやヤブツバキも植えてある。
ナスは、一本の木で数10倍とれるし、庭木は、半分の日にちで大きくなるという。
ナスやピーマンは、もう1年以上、同じ木に、冬も鈴なりに実をならし続けている。

2) 土づくりしなくて作物が育つ
キャベツは年6回とれる。なんでも、よく育つ。(ただ、トウモロコシだけは、CO2濃度が1000ppmぐらいでないとできないそうだ。濃度が高いとカビが生えて、受粉しないという)。
ピーマンの実を食べてみたが、熟して、果物のような味。キャベツやブロッコリーの葉は甘い。
この1月に種を土に直に播いたというブロッコリーが、30cmぐらいに背丈になっている。

ハウスの床土は、わざわざ、地下2mの作土層を掘りだして、作ったという。
肥料もなにも、土には入れていない。炭素循環農法でいう炭素資材なども入れていない。
床の土は、表面の数cmだけは、ふかふかであるが、その下は硬い。
作物の根が変わっている。どれもこれも、根が浅い。あるものは、苗を買ってきたポットのまま、植えてある。それなのに、ほとんどの作物は、1年以上たつと、人の背丈よりも大きい。

ただ、こんなに高い湿度で、暖かければ、ふつう、ハウスは虫と病気の巣になる。ところが、虫はいないわけではないが、食害や病気は見当たらない。というよりも、尾台さん同様、作物はみんな元気いっぱい。
軽井沢の冬は、マイナス10度以下になることもたびたびという。そんな所で、暖房もしないで、作物ができる。今の農業の常識にはない話。
「根から養分を吸って、作物は育つので、根が大事、土作りが大事」と、一般的にされている。
では、このハウスの野菜たちは、根が小さく、土も作らず、どうやって養分を取っているのだろうか。

尾台さんは、信州大学の農学部に相談を持ちかけたが、相手にされなかったので、工学部に声をかけて、共同で研究している。すると、CO2濃度が非常に高いことがわかった。発酵層から出るCO2と水蒸気を、茎や葉が吸っているから、よくできるのだと考えている。確かにそうだろう。
でも、それだけではなかろう。むしろ、もっと大事なモノが、作物を育てているのではないか。
まだ、現代の学問では認められていない、例えば、見えない微生物、見えない気体など・・・。
ともかく、作物は、なぜ育つか、その課題を提示してくれるチップハウスである。

このハウスの柱は、木材が使われている。金属は使われていない。柱は、カラマツ材で、太いまま、3mおきに、土を2m掘って埋めてあり、コンクリの基礎は打ってない。柱の木の皮はむいてない。
南面は、高さ2m、北面は高さ5m。片流れの屋根。
南面の壁と屋根は、透明なビニール、北側と東西は、青いシート。どれも、柱を挟むように2重張りになっている。(建築確認申請はいらない。素人3人で建てたそうだ。特許申請中)

だったら、夏はどうなるのか。気になるところ。
ところが、写真を見てわかるように、このハウス、冷房対策もしてある。
山の水が年中10℃。その水を引いてきて、北面の壁の上の方に、ホースを30mのハウスを4周して、回している。その水は、ハウスの温度が30℃を超えると、流れるようになっている。自然流、冷房。
夏がもっと暑くなると、さらにホースを長くすればいい。

このハウスに入っていると、喘息や花粉症の方が治るという。カラマツの油が効いているのではと尾台さんはいう。そんな所で育った野菜なら、食べても、いろいろな効果があるかもしれない。
ということで、新しく野菜ハウスを建てるなら、できた野菜を都会から来たお客さんに収穫してもらうレストランを作りたい。食べて、ついでに、難病も直してもらう。と、尾台さんは考えている。
ただ、一般の鉄骨ハウスに、この発酵層を組み合わせても、ハウス内の温度は、せいぜい3,4度しか上がらない。木材と2重のビニールの被覆が断熱材となり、発酵層の熱を保温しているという。

3) 非常識が次々と新しい実践に
こんな非常識なモノを考える尾台さん、そのほかにも、いろいろと面白いことを考え、やっている。
もともとは、造園業で、花木を売る商売。ところが、森で放置されたカラマツに目をつけて、建築材に使われない、ねじれる性質を、ケヤキのクサビで止める技術をみつけ、カラマツ材をはじめてログハウスに使い始めた。住んだ人の評判はとてもいいという。

いまは、ケアーセンターの仕事も始め出した。地域に、老人向けのケアーハウスは増えているが、もっと困っているのは、知的障害者の家族。世話をするために、働きに出られない。そこで、その方のためのケアーセンターを立ち上げた。45名を受け入れ、冬の仕事がないので、この発酵槽ハウスを活用して、野菜の世話を年中できるようにしたいと考えている。

本職の造園業だけで、十二分に食うのに困らないはずなのに、それ以外、片手では数えられない仕事を、同時にこなしている。次々と電話が入る。まだまだ、発酵槽ハウスの次が、出てきそうな勢いの頭。
それもこれも、頭がカラッポ、いつも柔軟にモノを考えられるからできるのではなかろうか。
「今まで、60人ぐらい、参観に来られたが、まだ、やっている人はないだろう。ノウハウを全部提供するから、やってみてください」という言葉で、送りだしてもらった。ありがとうございます。

写真とその説明 
https://plus.google.com/photos/110716556042971360940/albums/5862607774391670753 
(それぞれの写真を、クリックすると、その説明が出ます)


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現代農業に、尾台さんが紹介されています。

現代農業 2012年12月号  168ページ~173ページ

発酵熱利用のスーパーハウス  長野県御代田町 尾台聿雄さん

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たんじゅん 

Author:たんじゅん 
「虫がつく野菜は、人間の食べ物ではない、虫のエサ。人間の食べ物は虫がつかない野菜。虫も野菜も人も、すべてが生き生きとしている。もちろん、お百姓も未来の大人も・・・」。
それが、自然・天然の仕組みと聞いて、びっくり、納得。
人間の側からではない、天然の側からのたんじゅんな農法は、もしかすると、戦争のない平和で豊かな世界の一つの実験、実顕ではなかろうかと、その実践報告を集めている。
連絡先メールアドレス tanjun5s@gmail.com

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