スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1  稲垣正貴さん

田舎モンの旅だより

   『たんじゅんさん』 こんにちは

    第1回   稲垣正貴さん(愛知県)

 ・ 市場が注目する作物を

 ・ この”やりどく”の農法を未来の仲間に



『たんじゅんさん』 紹介

 まず第一回は、インターネットの[mixi]に入っている方はご存じ、稲垣正貴さん(35歳)。
 [mixi]で「炭素循環農法」のサイトの世話をされている、若い『たんじゅんさん』。
 愛知県の西の端、津島市で、たんじゅん農法を始めて、4,5年になる、専業農家。母親と夫婦の3人暮らし。


正貴さんは、大学を出て、プロの農家を目指し、有機農家で実習をしたあと、家の3反の畑をついで、農業をはじめた。
しかし、いくらやっても、有機農業では、虫と縁が切れない。
野菜の世話より、虫の世話が大変だと、悩んでいた。

その時、2004年に「炭素循環農法」を知った。
<虫のつく野菜は、人間の食べ物ではない。虫のつかない野菜を、人間が食べる。それには・・・。その原理は・・・> 。
すっきり、はっきり。 求めていたものは、これだと、直観した。

すぐに、この農法でやっている畑を見て確かめたいと、実践している方を探した。
が、その当時はどこに実践者がいるのか知る手段がなかった。そこで、自ら、試行錯誤。

3年前(2007年)から、本格的に、この農法で、畑3反をやりはじめた。
 だがしかし、昨年は、転換期。収量があまりよくなかった。

 そして、今年(2009年)春。林幸美さんに来てもらって、見学会と勉強会を開いた。20名ぐらいの方が参加。
 その時、「畑はよくなっている。今年の秋にはよくできるよ」と林さんに言われた。

 取材者も、その会に参加していたので、春から半年後、秋に畑がどんなになっているか、この目で見たいと、
 稲垣さんがお忙しい中を押しかけて、「まさき農園」を取材させてもらった。

 毎土曜日、有機朝市に

 専業農家は、野菜を育てても、出口(売り先)がなければ、生活できない。
 正貴さんは、車で30分の距離の、名古屋の土曜朝市に、毎週、生産物の一部を出している。
 それは、名古屋のど真ん中で、毎週土曜日に開かれている、有機野菜を中心とした朝市。
( オアシス21 えこファーマーズ朝市村 http://asaichimura.blog15.fc2.com/ )

 そこに買いに来る方は、安ければなんでもいい方でなく、野菜の価値を認めてくれる方。しかも、一種類ではなく、多種類の野菜を望んでいる。そこに、正貴さんは野菜を出している。

 正貴さんの畑は、名古屋市の西の郊外、もとは、畑と田の広がるところ。新興の住宅や運輸倉庫が点在する。新しい店が立ち並ぶ県道からは、少し入った静かな所。近隣は、ネギの産地。専業農家の畑や民家に囲まれている。

 早速、畑をみせてもらった。
 人参、ネギ、ニンニク、大根、生姜、里芋、ブロッコリー、ナス、トマト・・・。多種多様な野菜たちが育っている。
 タネを蒔く時期を数段階にずらして、収穫期間が長くなるように植えてある。
 さすが、家庭菜園とはちがう。プロを目指している畑だ。


種々の大根


ブロッコリーとネギ


ニンジン


7月播きがもう出荷できそう                   

 まだ、ところどころ、できの悪い所が見えるが、それはまだ、土の浄化にむらがあるから。
 全体としては、かなりよい出来。3年目にして、浄化がすすんできているようだ。野菜の色がすがすがしい。
 畑がとても落ち着いて、気持ちがいい。土が春より確かによくなってきている。
 昨年まではひどかったという。
 まわりは、みんなプロの農家。農薬・除草剤は使っているが、できはいい。
 そんな中で、「まさき農園」のできの悪さが目立つ。
 しかし、そのことは何も言わないで、「置いておくよ」といって、野菜を届けてくださる、心やさしい方が、昨年まではあった。

ところが、今年は、だれも、野菜をくれない。
 それもそのはず、生姜や里芋は、逆転して、周りの畑よりも、できがいいのだ。
 今年は、天候不順で、野菜のできが、一般的に悪い。
 そのなかでの「まさき農園」の出来のよさが、逆に目立つ。

特に、生姜は、プロも顔負けの出来栄え。


生姜の畝


生姜の大きな株  

 取材者も、素人ながら、生姜を畑で試みているが、入れたタネ生姜とホボ同じものが一つだけ、秋に収穫できる程度!
 正貴さんもうまくできなかったそうだ。
 ところが、今年は、とてもいい生姜ができた。
 茎や葉をみるだけでも、できの良いのがわかる。葉や茎が生き生きしている。
 試し掘りしてもらうと、大きな新生姜がずらりと並んでついている。
 まだ畑全部がそうとはいえないが、葉や茎のようすから、9割はいい出来栄えだろう。それも、今年からという。

生姜は、ふつう、農薬漬けで育てられる。植える前に畑を土壌消毒薬をまき、シートをかけ、燻蒸してから植えるという。
 それが、なにもしないで、まだ駆け出しの農家が、こんなりっぱな生姜を育てられるとなると、買う人はもちろんだが、農家も喜ぶはず。いや、もしかすると、農家の大部分は、逆だろうか?

(余談: 田舎モンは、家に戻ってから、いただいた生姜を刻んで食べてみた。例のジャリジャリ感と苦みがなくて、すっきりした生姜の唐みと香りがした。じつは、生姜の苦みが今まで嫌いだった。しかし、これはおいしい。もしかすると、市販の生姜の苦味は、もしかすると、農薬の苦みではと勘繰った)


里芋を掘る


1株でこれだけ  

 里芋もすばらしい。まだまだ、畑のできの悪いところもあるが、できのいいところは、親芋に子芋が10個以上ぶら下がっている。しかも、こぶしの半分ぐらいありそうな子芋。
 朝市には、子芋を出すので、稲垣家では、親芋を自家用にしている。その親芋がおいしいという。奥さんは、大きい方が手間がかからないので、かえって、親芋を喜んで使っているという。
(余談: 掘った里芋1株を全部くださったので、早速、帰ってから、子芋と親芋を食べてみた。子芋はみそ汁の中で、トロトロととろけていた。味がある。しかし、親芋にはもっと驚いた。青い茎の里芋の親は、ジャリジャリして、ふつうは捨てる。ところが、煮た親芋は、それがなく、しっとりと、子芋の食感さえある。なるほど、これなら、捨てるどころか、喜んでいただける)

手抜きチップ農法

3年の間に、畑は、こんな成果が出始めた。
 田んぼも、9反。昨年から、「たんじゅん農法」に切り替えているが、今年は、いい感じだ。モミがふっくらとしている。([mixi] 参照)

 正貴さんは、さらに来年はもっとよくなることを、畑の出来から確信している。
 この農法だと、作物の質が良いのは当たり前。だが、量はどうかなと考えながらやってきたが、これなら、大丈夫だと、今年に入って見えてきたようだ。

では、それには、いかにして、畑作りをしたか。それが、このレポートの一つの目的である。
 この3年の転換のようすを、聴き出してみた。

数年前から、「たんじゅん農法」をはじめるにあたって、正貴さんも廃菌床を探し求めた。
 しかし、この地域では、それは定常的に集めることは難しいと断念した。

そこで、林さんのアドバイスもあって、チップを活用することにした。
 チップなら、手に入る。軽トラいっぱい、500キロで、500円ぐらい。
 はじめは、チップに、いろいろ混ぜて、発酵させ、チップライト化した。いわゆる島本微生物農法の応用だ。しかし、それは、かき混ぜるのに、相当な労力がかかる。

それで、手抜きをすることに。
 今年から、発酵の手間を省いて、チップを運んできたら、そのまま、畑に撒くことにした。

 とくに、広葉樹のチップなら、そのまま撒けばいい。針葉樹のチップの場合は、その強い匂いが消えるまで、半月も山に積んで寝かせれば、それが消える。それから撒けばいい。

 正貴さんは、運んできて、すぐにチップを撒いている。
 いまは、目が小さいのと、荒いのと、2種類のチップが手に入るので、使い分けている。

 小さな芽や、タネ、直に野菜に当たるところには、目の細かいチップを厚さ数cmかける。
 荒いチップは、その上に、草除けや乾燥を防ぐため、厚さ数cmかけている。

 ある程度、野菜が育ってきたら、土寄せをする。そのころには、以前撒いたチップは、ほとんど原形がなくなって、土と同化している。土寄せをしたあとは、その上に、荒いチップを厚さ数cmかける。
 野菜によっては、収穫までに、それを2回から数回繰り返す。

 要は、野菜の育ちに合わせて、表面をかく代わりに、土寄せし、そのあと、追肥の代わりに、チップを補給していく。たった、それだけ。単純、明快。


生姜と2種のチップ


ブロッコリーとチップ
 
 芋類や生姜は、植えるのも簡単。同じ方法でやっている。
 平らに畑を均したら、芋を入れる溝を浅くつくる。それに芋を並べて、土を軽くかける。
 その上に、チップを5cmぐらいかける。芽が出てきたら、さらに、数cmかける。
里芋も、生姜も、それでいい。それだけで、今年のようなりっぱなものになった。
 生姜は、芽が出て、日に当たると、品質が落ちる。それで、芽が出ると、チップをかけるのがポイント。

 あれだけ、悩ませた虫は、この3年、一切取っていない。去年は、だいぶ虫がいたが、そのまま。
 少しは虫に食べられることもあるが、それは人の食べるものではないシルシと放っていると、

 野菜は、食べられた穴を、自分で修復して、元気に育っている。 今年は、虫がほんとに減った。


今年は虫にやられない


食べられても野菜が修復

「たんじゅん農法」はやりどく

農薬も、何もいらない。虫採りもいらない。チップだけ、それも、生のチップ。
 野菜は、微生物が育ててくれる。農家の仕事は、チップを運んできて、畑にかけるだけ。
 それで、野菜が採れるなんて、「やりどく」だと、正貴さんは笑う。

 来年は、2種類のチップの使い分けも要らないかと考えている。
たしかに、畑の上にかけてある、荒いチップを手ではぐってみると、しっかり、糸状菌がまわっている。
 十分に、糸状菌が働いている。  


畑に撒いてあるチップをはぐる


糸状菌がびっしりついている  

 ただ、これほど、作物が育つようになる、
いいかえると、1月ぐらいでチップが分解されるほど、土に微生物が増えてくると、
微生物の餌は、考えた以上に、たくさんいるようだ。
はじめは、1反(10a)に1トン、炭素を供給すればいいとしていたが、
 どうも、一作に3トン/反、一年で、10トン/反が、畑に必要な炭素資材の目安になりそう。
 「まさに、微生物の餌やりが、農家の仕事」と、正貴さん。

永年苦労してやってきた、周りの農家の方が、元気をなくして、老いていく中で、
 こんなに簡単に、なんでもできる。
 その方法と原理を知っただけで、若い農家がやれる。
 これは、ほんとに、<やりどく>だと、畑を観ながら、優しく正貴さんは笑う。

市場で十分通用するものを

 正貴さんは言う。
 この農法でやると、質は文句ないが、量が昨年までは採れなかった。
 ところが、今年は、量もうんとよくなり、慣行農法なみか、それを超えるぐらい。
 まだ、2倍まではいかないが、いずれ、いくかもしれない。

だがしかし、経営は赤字続きだ。
 いまのところ、親の蓄えを持ち出しながら、なんとかやってきた。

 しかし、悲観はしていない。明るい顔をしている。
 今年がだいぶ収益も増してきて、この調子でいけば、来年からは、赤字は出なくなるだろう。

ただ、正貴さんは、それで満足せず、目標をもっと高い所に置いて、来年以後を描いている。

この農法でやっていけば、質は自信がある。問題ない。
 今後、量ができていけば、課題は、畑の<出口>の開拓。
 そのためにも、一つは、一般の市場で、特別に高く評価される作物の出荷を目標にしている。


掘ると白い茎が20cm近くに

 このあたりは、ネギの主産地で、正貴さんも、ネギをたくさん植えて、市場に出している。
 この農法で、今年は、ネギも、味、量ともに、いいものができるようになった。
 少しずつ、まわりからも、評価もされてきているようだ。

(余談; いただいたネギを、帰ってから、ネギ焼きにして、醤油をかけて、口に入れた。白い所は、まだ細いのに、甘く、とろみがあって、すでに、冬の太ネギ。冬が楽しみだ。青い葉も、味があり、一緒にいただいた。)

ただ、それを特化して、市場が注目する特産品にするには、まとまった量がいる。
 それには、仲間が必要だ。

 その仲間も、この春の勉強会をきっかけに、ボチボチとできてきている。
 正貴さんが始めた[mixi]の「炭素循環農法」のサイトも、若い方の拠り所になってきている。

 たくさんの未来の仲間が、まだまだ、この<やりどく>の農法を知らないで、あるいは、知りながらも、
 その採算性、経営の問題で、一歩が踏み出せないで、いまはたくさん隠れている。
そんな方に、この農法を伝え、仲間を増やすことも、正貴さんの夢だ。

 忙しい農作業に加えて、夜中、パソコンに向かい、[mixi]のホームページのお世話するのも、そのためだろう。


チップ置場の前で

「たんじゅん農法」は、微生物が主役の農法である。
 微生物は、どこにも、住んでいる。
 だから、「たんじゅん農法」をやるか、やらないかの問題は、微生物の側にはない。自然側にはない。

その意味でも、「たんじゅん農法」を実践する人、『たんじゅんさん』は、どんな方か興味深い。

 その一人に会ってみて、なにか、やさしい気持ちになれた。
 きっと、『たんじゅんさん』は、やさしい人だからだろう。

 その一人に会ってみて、目指す方向にひたすら、力を抜いて、歩く姿をみた。
 それは、『たんじゅんさん』が、きっと、やさしいだけではないからだろう。

 また、来ます。と言って、夕日に照らされた、畑を後にした。
 今夜は、中秋の名月だ。

 ありがとうございます。

稲垣 正貴さん(まさき農園) 1974.10.7 生まれ
 メール frg.frm@gmail.com 、住所  愛知県津島市寺野町
まさき農園  URL:http://frogfarm.sakura.ne.jp/top
オアシス21 えこファーマーズ朝市村 URL: http://asaichimura.blog15.fc2.com/

個別の問い合わせは遠慮ください。mixiの「炭素循環農法」のコミュニティーに参加いただくか、勉強会にご参加を。
最新記事
カテゴリ
リンク
月別アーカイブ
プロフィール

たんじゅん 

Author:たんじゅん 
「虫がつく野菜は、人間の食べ物ではない、虫のエサ。人間の食べ物は虫がつかない野菜。虫も野菜も人も、すべてが生き生きとしている。もちろん、お百姓も未来の大人も・・・」。
それが、自然・天然の仕組みと聞いて、びっくり、納得。
人間の側からではない、天然の側からのたんじゅんな農法は、もしかすると、戦争のない平和で豊かな世界の一つの実験、実顕ではなかろうかと、その実践報告を集めている。
連絡先メールアドレス tanjun5s@gmail.com

メールフォーム
各地の新しい実践情報など、今の状況、成功、失敗例、問題など、お寄せくださいませ。

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。